コーネル大学での研究生活

 現在,科学技術庁長期在外研究員制度を利用して,平成11年10月14日から1年間の予定で,アメリカのコーネル大学畜産学部に留学しています。アメリカに来てあっという間に5ヶ月経った。英語はなかなか思うようには上達しません。

 大学について
 コーネル大学は,ニューヨークシティから車で4〜5時間ほどのニューヨーク州中部のイサカという人口約3万人の小さな町にあり,キャンパスは,湖に面した小高い丘の上に位置します。大学院生は男性が多く,学部生を含めると,非常に女子学生が多いように感じます。図書館は,クリスマス休暇中を除いて常に開館しており,平日および日曜日は夜中の12時まで開館されている。蔵書は非常に充実しており,「畜産の研究」まであった。私にとってはうれしいことですが,いったい他の誰が読むのか疑問です。また,文献検索は無料で,BIOSISもCABも引き放題と,研究環境は非常に充実しています。
 
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 畜産学部では,週に1回,CNCPS(コーネル大学版飼養標準)次期改訂版のミーティングが開催されており,コンピュータールームでβバージョンを試用したり,担当者のプレゼンテーションがあったりで,毎週いやでもCNCPSを意識させられます。実際,実験計画にも,最後は必ず「この知見はCNCPSに役立つ」とあるので,常に出口を意識した研究が行われていると感じています。また,草地試の古川良平さんらの論文「気象条件が牛の生理的機能に及ぼす影響」草地試研報27:70,1984が,CNCPS最新版のレジュメに引用されており,文献データベースに載るということは,非常に重要であるということを改めて感じさせられました。これは,日本からの唯一の引用でした。
セミナーは,毎週頻繁に開かれており,平均して週に2回程度は参加している。その際,必ず食べ物(ベーグル,ドーナツ,チーズ,クラッカー)やコーヒーが用意される。発表では,ほとんどの場合,ノートパソコン直結の液晶モニタが使われており,アニメーション機能を駆使している人もいます。
海外での長期滞在は私にとっては珍しく,A4は世界標準サイズかと思っていましたが,こちらはレターサイズ(コピー機の表示はLTR,8.5*11インチ)が標準のようである。A4より縦が短く横が広く,日本から持ってきた書類をコピーすると下が切れてしまい,最初はコピー機の故障かと錯覚さえした。
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 生活に関して
 治安に関しては,日本と同程度と思われる。
英語は,1対1の仕事の話なら何とかなるが,学生同士の雑談を正しく聞き取るのは難しい。買い物や食事はあまりしゃべらなくてもよいので,店のルールを覚えれば,後は何とかなる。支払いは,何でもクレジットカードで済ませているため,スーパーのレジでは自分でカード認識装置を操作します。

 研究に関して
 受入をお願いした教授は学部長になられ,指導を直接仰ぐことができなくなったため,助手の人と博士課程の学生2人の計3人のチームに加わることになった。このチームには,テクニシャンの女性が1人付いている。日本の研究室のようなはっきりした区分けはなく,研究内容は各指導教官に任されているようだ。また,助手以上は個室があり,教授には個人秘書が付いている。
 実験の予算申請書には,過去3年間の論文リストを書かされ,さらに,Justification, Background, Objectives, Procedureを何ページも書かされるので,予算が通った時点で既にintroductionとmaterials and methodsはもう完成していることになる。この後,学内の動物倫理委員会に申請して,何度か修正のやりとりがあった後に,許可がおりる。現在,私は,やっとこの段階まで到達した。
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学部スタッフの写真
 大学の教育・実験農場は,校舎から24kmほど離れたところにあり,乳牛は全部で380頭,職員6人で世話をしている。他に同規模の肉牛部門とめん羊部門が併設されている。実験用乳牛舎は,120頭収納可能で,ほとんど埋まっていた。代謝試験ストールは8頭分あり,搾乳は,1日3回の8時間間隔で,時間は0時半!,8時半,16時半です。乳量は平均2万5千ポンド(1万2千kg)で,これらの数値は近隣農家の平均レベルだそうである。飼料は,コーンサイレージ主体のTMRを自走式の給餌機で秤量しながら給与し,残飼は,巨大な自走式の掃除機で吸い取り,自動秤量している。

 2000年の初日の出は,サンプリングで訪れた教育・実験農場で拝んだ。今年(世紀?)も忙しくなりそうだ。
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求人広告 学部長室廊下に掲示された
学部スタッフの論文別刷り

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